消火薬剤として不活性ガスやハロゲン化物を噴射することで、窒息効果や化学的変化により消火を行う方式です。消火後の汚損がほとんどないため、コンピューター室や通信施設、実験室などに多く用いられています。




消火ガスの種類
二酸化炭素
空気中の酸素濃度を薄め、窒息効果により消火を行います。室内では人体にも影響があるため、設置、取扱には注意が必要です。
窒素
空気中の酸素濃度を薄め、窒息効果により消火を行います。空気中に最も多く存在する自然物質なので人体にも無毒なため、人と環境に優しい新しい消火設備として注目されています。
ハロン1301
燃焼面の遮断による窒息効果と、燃焼の連鎖反応を遮断する化学的な負触媒効果(抑制効果)との相乗効果により、極めて短い消火時間で消火できます。クリティカルユースの適用による設置が認められています。
HFC-227ea(FM-200)
ハロンの代替薬剤としてアメリカで開発された、オゾン層を破壊しないハロゲン系の薬剤です。
消火原理はハロンと同様で、世界のハロン代替システムの95%に導入されています。
- ハロン1301以外のガス消火設備を常時人がいる場所に設置する場合は、事前に所轄の消防へご相談ください。
ガス系消火薬剤の種類と特長
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二酸化炭素消火設備 (不活性ガス消火設備) | 窒素消火設備 (不活性ガス消火設備) | ハロン1301消火設備 (ハロゲン化物消火設備) | HFC-227ea(FM-200) (ハロゲン化物消火設備) | |
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消火剤の消炎濃度(%) | ○ (22.0) | ○ (33.6) | ◎ (3.4) | ◎ (3.4) |
消火効力の維持時間 | ○ | ◎ | ○ | ○ |
記号説明: ◎ 良い ○ 普通 × 悪い
( )は、カップバーナー法によるn-ヘプタンに対する値。
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オゾン破壊係数 | ◎ (0) | ◎ (0) | ×※ (10) | ◎ (0) |
地球温暖化指数 | ○ (1) | ◎ (0) | ×※ (4170) | ○ (2050) |
大気残存年数 | × (120年) | ◎ (-) | △※ (65年) | ○ (31年) |
記号説明: ◎ 良い ○ 普通 △ やや悪い × 悪い
()内の数値はIPCC第5次評価報告書の数値です。(二酸化炭素の大気残存年数は、IPCC第1次評価報告書の数値)
- ハロンリサイクルシステムで回収・設置するため地球環境保護に貢献できます。
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消火剤自体の人体への安全性 | × | ◎ | ◎ | ◎ |
消火効力の維持時間 | × | ◎ | × | × |
記号説明: ◎ 良い ○ 普通 × 悪い
主な用途(防護区画)を見る
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主な用途 | 機械式駐車場 オイルセラー 圧延機 危険物倉庫 塗装ライン 集塵機 混打綿機 送綿ダクト など | コンピュータ室 通信機械室 電気室 美術品収蔵庫 機械式駐車場 など | 通信機器室 放送室 制御室 印刷室 フィルム等保管室 危険物施設の計器室 美術展示室 など | 通信機器室 コンピュータ室 電気室 ケーブル室 機械室 小型工作機械 など |