設置対象物の概要
印刷機は各種の出版物を印刷する機械で、印刷物の種類によって種々なタイプがあります。輪転機は円筒形をした印刷版の間に紙を通して高速で一度に大量の印刷をするもので、新聞など部数の多い出版物を印刷する機械です。
設置対象物の火災危険
印刷機は主に紙にインクで印刷しますが、紙である印刷用紙自体が燃えやすく、印刷インクにも引火しやすい油や溶剤が含まれています。印刷版を高速で回転させて紙を移送する輪転機は摩擦熱の発生する危険があり、また、インクを乾燥させるためにヒーターが組み込まれた印刷機もあり、これらの熱によってインクや油などが染み込んだ紙に着火する恐れがあります。
局所消火設備の構成
二酸化炭素消火設備は消火剤貯蔵容器、噴射ヘッドおよび貯蔵容器と噴射ヘッドを接続する配管で構成され、これに火災感知器、制御盤、警報装置、起動装置、放出表示灯などが設けられています。設備の起動方式は原則として手動起動方式とされます。火災発生を確認したあと、手動起動装置の扉を開け、起動押しボタンを手動操作して消火剤を放出します。消火剤放出時には音声による警報と赤色回転灯による放出予報警報が発信されます。
局所消火設備の設計基準
印刷工場の輪転機にはさまざまな種類があります。このため物件ごとに消火設備の設置方法は異なりますが、基本的な設計基準は次の通りです。
- 消火剤噴射ヘッドは輪転機全体を消火剤で包含するように設けます。
- 消火剤の放出量と所要量は防護対象部分の形状に応じ、放出空間の容積を基準として計算します。
- 消火剤の放出時間は30秒とします。
- 消火設備の起動方式は原則として手動起動方式とします。
