ヤマトプロテック株式会社

典型的な被害例

悪徳消火器商法について

消火器点検の悪徳商法の典型的な事例や手口についてご紹介します。

弁護士:鈴木 尉久

被害事案の典型例

女性の声で、事務所に電話があり、「消火器のヤマト○○です。いつもお世話になっております。消火器の薬剤充填期間が過ぎていますので、こちらからお伺いしたいと存じますが、いつ頃がよいでしょうか。」と言ってきた。その電話を受けた事務員は、てっきり従前から消防設備関係をまかせている取引業者であると勘違いし、 来訪日時の予約をした。 約束の日時には、作業着を着た男性が3人ほど来て、「消火器の点検に来ました。」というので、電話予約をした従前からの取引業者であるとの勘違いが継続した状態のまま、作業着の男性は事務所や倉庫から消火器を手際よく全部運び出してしまった。消火器を運び出すにあたり、書類にサインを求められたため、事務員は消火器の預り証であると思い込んで、よく文面も見ないままサインした。数時間後、サインをさせられた書面をよく見てみると、薬剤充填など消火器点検整備を委託する内容の契約書の書式になっており、法外な金額が代金額として記載されていた。もちろん、書面に記載されている業者名は、従前からの取引業者ではなく、初めてみる名前の業者であった。 直ちに抗議し、消火器を返還するように電話をかけたが、契約書にサインがあることから、逆に脅しをかけるような高圧的態度に出られ、代金を支払わないと消火器は返還しない等と言われてしまった。

被害にあわないために(手口の特徴)

消火器の訪問点検商法の特徴は、

  • 消火器が多数置いてある事業所を狙うこと
  • 従前から取引のある業者であると勘違いをさせる言動を取ること
  • 内容をよく理解させないまま、法外な内容が記載されている契約書にサインさせること
  • 消火器を持ち去ってしまい、代金を支払わないと返還しないと言って代金支払いを強要すること

の4点にあります。 この種の商法は、手口をあらかじめ認識していれば、被害にあうことはまずありませんので、注意していただきたいと思います。

被害にあってしまった場合の対処

被害にあってしまったら

  • 消火器点検業者の要求する金銭は支払わない
  • 詐欺取消およびクーリング・オフの通知を内容証明郵便で送付する

などの措置をとるべきです。その上で、さらに法的手段をとるか否かを弁護士に相談なされることをお勧めします。

法的解決

この種の商法については、判例(大阪高裁平成15年7月30日判決)があります。 この判例によれば、被害を受けた事務所が幼稚園などの非営利法人であった場合はもちろん、株式会社、有限会社などの営利企業であったとしても、消火器を営業対象としていない場合には、特定商取引法によるクーリング・オフが可能であるとされています。また、上記判例は、この種の悪質商法が詐欺であることをはっきりと認定しており、詐欺取り消しの意思表示があれば、契約は遡及的に無効となります。 したがって、被害事業者が、詐欺取り消しあるいはクーリング・オフを主張すれば、契約は無効となり、不正消火器業者からの代金請求は一切に認められず、逆に搬出した消火器の返還を求めうることになります。

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